ふじの宿

主にドラマやライブの雑多な感想を書いています。

SexyZoneに似合う百人一首を考えてみた

 

 

 

こんにちは、ブログでSexyZoneについて書くのは初めてになります。ふじのです。

SexyZone、結成9周年おめでとうございます。

それはさておき、

 

 

綺麗なものには綺麗なものが似合う

というわけで(どういうわけ)、タイトル通りセクゾのメンバーに似合う百人一首を考えてみたので紹介していきたいと思います!

 

今回は恋のうたに限定しています。

また、あくまで”似合う”歌であって、彼らがこんな恋愛をしそう、という判断基準ではありません。雰囲気やキャラクターに合いそうなものを直感で選んでおります。

 

では早速いってみましょう!

 

目次

 

佐藤勝利

第十三首 河原左大臣

               f:id:fujinochiyo:20200929024535j:plain

 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 

             乱れそめにし 我ならなくに

 

『しのぶもぢずりの布のように、誰かのために心を乱すようなわたしではないのに、あなたの事を想うとわたしの心は乱れはじめる』

陸奥(みちのく)】東北地方。

【しのぶもぢずり】福島地方にある乱れ模様に染めた布のこと

 

勝利くんの候補は五首あったのですが、不器用な恋心や心の乱れをうたったものが多くありました。普段感情の振れ幅は大きくないがゆえに、いざ心ゆさぶられる存在に出会ったとき、思いの伝え方がわからない、そんなイメージが歌たちから浮かびました。

 

次点は、

第六十三首 左京大夫道雅(藤原道雅)

  今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな

『今、あなたとの恋を諦めたという事だけでも、人に頼まずに、自分の口から直接あなたに伝える事ができればいいのに』

です。

キーワード:月 不器用な恋 心

 

 

中島健人

第三十八首 右 近 

                f:id:fujinochiyo:20200929024745j:plain

 忘らるる 身をば思はず ちかひてし 

                  人の命の をしくもあるかな

 

『あなたに忘れ去られてしまった我が身の事よりも わたしを愛してくださると神様に誓ったあなたが神罰を受けはしないかと心配です』

 

健人くんはドラマティックな恋愛がとことん合う。他の候補も相手にどでかい感情をむけているものばっかりでした。それから女性作者率が非常に高い!候補六首のうち半分が女性。メンバー内最多でした。上記の歌も女性作者です。女性的な、といったら偏見になるかもしれないですが、綺麗なだけでない愛憎入り交じった感情のぶつけ合いがよく似合いますね。

 

次点は、

第五十四首 儀同三司母(高階貴子)

  忘れじの ゆく末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな

『わたしの事を忘れないと約束をしてくれましたが、いつまでその約束を守れるか難しい事です。それならばいっそ、まだあなたに思われている今日限りの命であってほしい。』

です。

キーワード:世 永遠 罰

 

 

菊池風磨

第五十八首 大弐三位

               f:id:fujinochiyo:20200929025034j:plain

 ありま山 ゐなの笹原 風吹けば 

            いでそよ人を 忘れやはする

 

『有馬山から猪名の原野にそよ風が吹き降りれば、篠笹の葉も風に揺れる。そうです、その音のように、どうしてあなたを忘れたりすることができるでしょうか。』

 

風磨くんは後悔の歌が似合う(確信)。自分主体で動くことは得意だけど、受け手にまわったとたんタジタジ。失ったものの大切さを別れてから身にしみて知る、そんな歌が多く候補にありました。それから健人くんほどではないですが、風磨くんも女性のうた多めでした。上記の歌も女性作者です。ちなみにちびーずは全部男性作者でした。選ぶときは作者を気にせずに内容だけで選んでいたのですが、こんなにハッキリ分かれるとは自分でも意外でした。

 

次点は、

第三十首 壬生忠岑

 有明の つれなく見えし 別れより あかつきばかり うきものはなし

『あなたと別れたあの時も、無情な夜明けの月がありましたが、今でも有明の月がかかる夜明けほどつらいものはありません。』

有明】夜明け

です。

キーワード:風 別れ 揺れる

 

 

松島聡

第四十二首 清原元輔

                 f:id:fujinochiyo:20200929025204j:plain

 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 

             末の松山 浪こさじとは

 

『袖をしぼれるほど涙で濡らしながら、二人で約束をしましたね。末の松山を波が決して越す事がないように、わたしたちの心も決して変わることはないと』

 

聡くんの候補たちは狭い世界での重い愛を歌ったものが多かった。恋人関係は別に隠していないし周囲からはほほえましく見守られているけど、実は二人の間には堅すぎる契りや狂気や束縛にもつながりかねない愛情がある、そんなイメージを歌達からいだきました。

 

次点は、

第八十六首 西行法師

 嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな

『月を見て、あなたへの思い嘆いたとしても、それは月のせいではないのでしょうが、まるで月のせいだとでもいうような恨めしい顔つきで眺めては涙を流してしまう』

【かこち顔】恨めしそうな顔つき

です。

 

キーワード:夜 消える 約束

 

 

マリウス葉

第五十一首 藤原實方朝臣

                f:id:fujinochiyo:20200929031558p:plain

  かくとだに えやはいぶきの さしも草 

           さしも知らじな もゆる思ひを

 

『これほどまで、あなたを思っているということさえ打ち明けることができずにいるのですから、伊吹山のさしも草の燃えるように、私の心があなたを想っては熱く燃えている事をあなたは決してご存知ないでしょう』

【かくとだに】こうであるとだけでも

 

マリウスは片思いや別れの歌が似合う。異論は認める。別れが似合うのは風磨くんもなのですが、マリウスは朝~昼、風磨くんは夜明けのイメージがあります。思いの届かない相手のことをずっと愛しくおもいながら、相手の幸せを願う。恒久的で尽きることのない愛情で満たされている、けれどどこか寂しさも纏っている。そのような印象を歌達からうけました。

 

次点は、

第七十七首 崇徳院

 瀬を早み 岩にせかかる 滝川の われても末に あわむとぞ思ふ

『流れが早く大きな岩に当たって流れが二手に分かれても、いづれまた一つの流れに
なる急流のように、今はあなたと離れているけれど、必ずまたお逢いしよう』

です。

 

キーワード:片恋 命 離別

 

 

さて、長々とお付き合いいただきありがとうございました。本当は候補になった歌達をすべて紹介したかったのですが、長くなりすぎてしまいますのでまた機会があれば紹介させていただきたいです。

 

上記のうたは全四十三首ある恋のうたのなかでもごく一部です。恋の歌の他にも季節や旅を歌ったものなど魅力的な歌がまだまだ沢山あります!ぜひあなたの「推し」のうたをみつけてみてください。

 

ありがとうございました。

 

麒麟がくる19話「信長を暗殺せよ」 ネタバレ感想

こんにちは。放送中断のカウントダウンに怯えております藤野です。さて、麒麟がくる19話の感想です。ネタバレを多分に含みますので未視聴の方はご注意くだされ。

目次 

 

 

信長、母との決別

前回、弟信勝を殺した信長。弟を溺愛していた母、土田御前に詰められます。お前は弟だけでなく母も殺したのだと。完全に信長と母との心の繋がりが断ち切られてしまったように思えました。母との対面を終え、帰蝶の元へ。

「終わった」

と一言。弟も母も失った信長ですが、帰蝶はそばにいます。心のなぐさめになっていることでしょう。もしも帰蝶を失ってしまうことになったら…考えただけでおそろしい。

 

十兵衛歓喜

1558年(永禄元年)、舞台は越前に移ります。美濃から逃れて早二年。十兵衛は子供達に読み書きを教えて生計を立てます。そんな折、京の将軍の元へ朝倉義景の使いとして赴くことに。久しぶりの京、将軍義輝様に会えることに喜び、煕子に報告します。しかし煕子はどこか調子が悪そう。十兵衛が体調をみていると…。「ややこができた」と煕子さまが報告。これには十兵衛大歓喜。きつく煕子を抱きしめます。明智家の皆様おめでとうございます!!!ここの十兵衛の喜びようがすごく可愛かった笑。テンションmaxで母上に報告にいく声の大きいこと笑。喜ぶ十兵衛のすがたにうれしそうな煕子さまもかわいかった~!!ゆっくりと、しかし着実に夫婦を育んでいる明智夫妻のイチャイチャが見られて余は満足じゃ。

今回のニヤニヤポイントでした。ここでニヤニヤしておかないとね、この後不穏しかないですからね…心せよ。

 

細川藤孝、藤英との再会

今回は京組との再会祭りです。まずは細川藤孝、三淵藤英兄弟と再会。藤孝殿、先週は本当にありがとうございました~!藤孝殿の書状のおかげで越前に滞在できるようになりましたから。今回サシで酒を飲み、公方様(義輝)の様子を相談するなど、どんどん近しい関係になっていく十兵衛と藤孝。これは将来の親友ですね。共通の理想をもって同志になっていく過程をこれからも楽しみに見ていきたいです。それにしても十兵衛の新しい素襖、深くていい色だなあと思っていたらあれ義景様からのレンタルだったのですね。これがいいあれがいいと思案する義景様を思いうかべたら笑っちゃいました。

 

松永久秀6話以来の登場

松永様まってた~~!!本当に久々登場の松永久秀。十兵衛とは11年ぶりの再会だそう。いやあ、松永さん良いわあ。今までは私の中で、常に腹の内に何か秘めてる油断ならない奴、というイメージだったのですが、この松永さんほんとにチャーミング。光安叔父上亡き今貴重ないやし枠です。どうか松永さんはずっと松永さんでいてください。

 

十兵衛と義龍

そして今回の個人的ハイライト、十兵衛と義龍(高政)の再会、そして別れです。美濃より上洛した義龍。タイトルにもあるように信長の暗殺を企てます。それを藤孝殿から知らされた十兵衛は松永久秀に暗殺阻止の協力を求めます。松永さんは義龍に暗に計画はすでに知られているぞと脅し、暗殺を中止させます。松永久秀を動かしたのが十兵衛だと気づいた義龍は十兵衛を呼び出し、二人の最期の語らいの場を設けます。

はあああ…。良いシーンだった。1話以来、志を共にした瞬間もあれど、だんだんとすれ違い、こじれ、ついに敵味方になってしまった二人。沈みかける夕日をバックに言葉を交わす構図が長良川前の十兵衛&道三の会話と対照的でとてもきれいだったなあ。美濃にいる間、終ぞ分かりあえなかった二人ですが、お互いが違う道を歩みはじめ、二年という時を経た今冷静に互いをみることができるようになったと思います。義龍にとって十兵衛は竹馬の友であり、どこまでも信頼できる、したいと思っている人。父を倒したものの周りに心を通じ合わせられる人がいない義龍は、自分に仕えないかと十兵衛に提案しますが…十兵衛の答えは否。すでに「大きな国をつくりたい」という、道三から受け継いだ理想を体現したいと考える十兵衛と、美濃一国をまとめることを目標にしている義龍ではもう同じ方向をみることはできないのでしょう。十兵衛にとっても義龍は確かに友であった。しかし共に歩むことはできない。最期の最期に初めて本音で話せたように思える二人。互いを完全に許すことはできないでしょうが、今までのわだかまりは解くことはできたようでよかったです。十兵衛が美濃と完全に決別したのだと感じました。

そしてぽつりとでた、義龍の「父上」という言葉。心では道三のことを父であると認めていたのでしょう。もし大きな国の話を親子でしていたら…少しでも二人で語らうことができていれば…もしもを考えると切なくなるばかりです。

これが最期の邂逅となる十兵衛と義龍。こじれ続けた二人は最後は確かに友であった、と信じたいです。

 

公方様の苦悩

5年ぶりに京に戻ってきた将軍義輝様(公方様)。しかし京の実権は三好長慶が握っており、その力はますます強くなっています。将軍を中心に平らかな世を作りたいという願いをもっていた公方様ですが、今回はその表情に陰りが見えました。将軍の力の衰えを肌で感じ、諦観のにじむ公方様。向井さんのお顔もあいまって本当においたわしい…という感情が真っ先に浮かんできました。麒麟がくる世を望む義輝様、本当に報われてほしい…義輝様の今後を思うと、涙しかありません。今後の京の展開から目が離せません。

 

信長とは如何なるものか

今回は十兵衛と京の武将達が信長という人物について語る場面が複数ありました。藤孝殿に暗殺計画を知らされたときには聖徳寺の会見時の信長の発言を藤孝殿に伝え、「やすやすと死なせたくない男だ」と信長を買っている十兵衛。松永さんは実際に信長と言葉を交わしたようですが、信長の評価は「妙な男」「うつけだが、ただのうつけではない」と、あまりよくはない評価。しかし十兵衛から、道三が信長に期待していたことを教えられると目の色が変わる松永さん。この二人も将来的に信長に仕えると考えるとわくわくします。しかし松永さんの山城守(道三)推し具合があいかわらずすごい笑。生きている間に一回あってみてほしいかったな…絶対反応おもしろい。十兵衛と松永さん、勝手に道三チルドレンと心の中で呼んでます(またはムホン組)。

 

さて、長くなりましたが今回は以上になります。美濃、尾張の内戦が一段落し、いよいよ外との戦いが多くなっていきます。そんな世界の広がりを京という舞台を通して感じる今話でした。

 

次回は桶狭間序章!最終形態、風間家康初登場です。楽しみにまっています。

それでは。

 

 

 

麒麟がくる18話「越前へ」 ネタバレ感想

こんにちは。すっかり週末の楽しみになった大河ドラマ麒麟がくる」18話の感想です。ネタバレを多分に含みますのでご注意くだされ。

 

目次 

 

 

 

 越前へ

1556年(弘文二年) 尾張へ逃げ延びようとする明智一行。そこへ駒ちゃん&菊丸が登場し、尾張へは高政が関をはっており無理だと告げます。

やっぱり最初は尾張に行こうとしていたのですね。美濃篇の次は越前篇と聞いたとき、帰蝶様もいるし信長も道三側だし尾張にはいかないの?史実と違っちゃうけど。と思いましたがそういった事情があったのですね。

兵が手薄な北に向かうことにした一行。左馬之助の言葉から光安叔父上は完全に逃げる気がないことが分かります。あぁ、、もう叔父上は登場なさらぬのでしょうな。個人的には道三ロスより光安ロスが激しいです。

 北への山道を行く一行。途中、伊呂波太夫と合流し、越前へ行くことに。

オノマチ&ハセヒロは「夏目漱石の妻」を思い出します。オノマチきれいだなあ。ここで菊丸が駿河へ帰るため離脱。駒ちゃんに気がある菊丸さん。十兵衛様は菊丸の気持ちは理解してそうなのに自分に向けられる好意にはなぜか鈍い笑。

 

 駒ちゃんの命の恩人

一話から示唆されていた駒ちゃんの命の恩人が十兵衛の父、光綱であると判明します。牧様は光綱様から麒麟の話を聞いていたようですが、十兵衛は知らなかった。麒麟の話は将軍(義輝父)→光綱→駒→十兵衛 ってことかな?

 

 朝倉義景との対面

越前に到着した一行。予告でも目立ってましたがカニカニ!の存在感よ笑。初めて見る大きな市にワクワクしてる明智一行かわいい。

いよいよ朝倉義景と対面ですが…とんでもない曲者感!ピンクベージュがよくお似合いで。ユースケ・サンタマリア、ハマりすぎです。そして藤孝殿!!藤孝どのおおお!!明智のものが逃げてきたら助けてくれと方々に手紙を送っていた細川藤孝殿。十兵衛大好きか。ここから光秀の唯一無二の友となっていくのですね。その藤孝殿とも山崎の戦いでは…と考えると…ぁぁつらい。だめだ、本能寺のかげが段々と頭をよぎるようになって参りました。つらい。

 

金がいるのであろう?くれてやろうぞォ!(この言い方好き)と義景に言われたとき、私の頭には浮かびましたよあの人が。大将首ふたっつ要求するマムシ様が笑。タダより怖いものはない笑。

尾張を動かす力があるか?との質問。むずかしいなあこれ。イエスと言ったら価値を見いだされてそれなりの待遇になるかもしれないけど、そういっていざという時動かなかったら非常にまずいことになりそうだし。ノーといった十兵衛ですがこれも正解かどうかは分からんなぁ。給付金にもノーといった十兵衛。これをもらうと自分を助けてくれた帰蝶様や藤孝殿がもらうのど同義になるからもらえぬと。いやあ、世渡り下手な正直者十兵衛ですが、考えを巡らせた結果正直になってるのがいいですね。十兵衛が去った後、座っていた場所を「もっとえぐるように拭け」と指示している義景様に笑った。

ともあれまた魅力的でくせのある主君の登場にどうする十兵衛負けるな十兵衛!

 
駒ちゃんと煕子様

今回もっともドキドキしていたのはこの二人です。元カノ(違うけど)と今妻が鉢合わするようなもの…どうなる?女の戦いが始まるのか?と心配でしたが、二人とも大人ですね。そんなことはありませんでした。良かったぁ。質屋慣れしてる(不憫)駒ちゃんについていく煕子さま。ここの二人は可愛かった!もっと粘れたのにと憤る駒ちゃんとこれからもお世話になるからこれでよいと言う煕子さま。今後の生活にもう覚悟が決まってる煕子さま、本当にお強いです。光綱様の形見の代わりに自分の帯を売る煕子。これを見て駒ちゃんも納得がいったというか、十兵衛への気持ちに区切りがついたように見えました。こんなにいい人じゃね、認めるしかないよな。つらい。

駒ちゃんとはここでお別れになりましたが、きっと再登場することでしょう。どのように歴史に関わっていくのか楽しみです。そしてまた煕子様と、あわよくば帰蝶様も一緒に女子トークしてほしい。女の子が集まっていると画面が華やぎます。

 

 十兵衛、再起

母、牧とぼろ屋で会話をする十兵衛。自分が何も為せなかった、すべてを失ってしまったことに無力感をつのらせる十兵衛。これに対する牧様の言葉が印象的でした。

「人には浮き沈みがある。沈んだときにどう生きるか。そのとき、そのものの値打ちが決まる

まさに沈んでいる状態の十兵衛。この期間にどう生きるのか、越前篇のテーマになりそうです。

それを聞いて決意をあらたにする十兵衛もよかったです。勝っていても負けていても走る(自分の役目を果たす)馬のように誇り高くありたい、と。ここで光綱父上のお顔が初めてでましたね。十兵衛と雰囲気が似てる!

このシーンでは光が印象的でした。初めこのぼろ屋に入ったときは暗さが印象的で、屋根に穴も開いており虚無感が漂っていました。しかし、このシーンではその穴から光が十兵衛に向かって差し込み、一気に希望に満ちた良いシーンになっていました。絶望に苛まれながら希望を見つけ、前向きに歩きはじめた十兵衛たち明智家。これで終わるかと思ったら…きました…来ましたよ…織田家が。

 

 染谷信長にもっていかれた

明るい越前から一転薄暗い室内に画面が変わります。そう、織田家です。いやあ、前半の越前も新しいキャラクターの登場、歩き始めた明智家と魅力的な展開でしたが…このラスト15分に感情を一気にもっていかれました。すごい。染谷信長すごい。こんなに人間味と狂気をバランス良くもちあわせているとは。染谷将太さんの他作品はあまり見たことがなかったのですが、一気に好きになりました。

謀反を起こそうとしている弟、信勝を見舞いにこいと呼び出す。ダメ、ダメですよ。この作品において見舞いは死亡フラグです。信勝もただ来た訳ではなく…霊験あらたかな水(毒入り)を信長に飲ませようとします。そんな信勝に、病は嘘、おまえを討ち果たそうと呼び出しと言い、信勝への劣等感を語り出す信長。それに対して私兄を羨んでいたのだと本心を吐露する信勝。いやあ、ここは本当によかった。染谷さんもですが、信勝役の木村了さんもすばらしい演技でした。このシーンは是非実際のドラマを見てほしい。

少年誌だったらお互いの気持ちを打ち明け合い、これからは共に歩んでいこうぞ!となるのでしょうが、ここは戦国時代。信長は信勝を…。気持ちだけではどうにもならないのが切なかった。いやはや、とにもかくにも名シーンでした。

 

 雑記

そのほか感じたことをつらつらと。

・十兵衛の着物が美濃にいたときより渋い色になっていて素敵。長谷川博己さんはちょと廃れたというかくすんだ感じの格好がなぜか似合う気がします。好き。

・OPのユースケ・サンタマリア、字面が強い。

・すっかり煕子呼びがデフォルトになった十兵衛いいなぁ。この夫婦好きなので、今後の展開に期待です。

・名プロデューサー帰蝶帰蝶の顔を見にいけはイコール殺せなのですね。こえぇ。

 

次回は久々に京の方々が登場。松永さんになぜか癒やしを感じる。光安叔父上亡き後の癒やし枠になれるか(勝手に)。次回も楽しみです。

公式HPにて、朝倉義景の衣装製作の裏側が公開されていました。面白い記事ですので是非こちらも。

www.nhk.or.jp

それでは。

 

 

 

 

 

 

何者でもない若者が何かになるまで 麒麟がくる16話

 

大河ドラマ麒麟がくる」が面白い。

 

感想をTwitterでぽちぽち呟いておりましたが、16話を観てあふれんばかりの感情が140字では収まらずこうしてブログを始めた次第でございます。

 

いやぁ麒麟がくる16話、終始感情をゆさぶられ続けて視聴後「うわぁぁぁ!」とわめきながらカーペットに突っ伏してしまいました。麒麟がくる序盤のクライマックスは来週でしょうが(楽しみ)、これまでの集大成はこの16話だったように思います。

 

まず16話のあらすじはこちら→

 

高政(伊藤英明)を討つべく出陣する道三(本木雅弘)。国を二分する戦に、明智家はどちらにつくべきか光安(西村まさ彦)は思い悩む。一方、光秀(長谷川博己)は戦を回避すべく、尾張の信長(染谷将太)と帰蝶(川口春奈)の元へ向かった。道三に肩入れして戦に手出しをしないこと、その代わりに織田との盟約を破棄せんとする高政を一命をかけて押しとどめると訴える光秀。しかし弟・孫四郎(長谷川純)に手を貸さずに死に追いやったとして光秀に対する不信感が拭えない帰蝶は、光秀を厳しく突き放す。

                              (公式HPより)

この先、考察といいますか、いままでのまとめがメインですので、16話の詳しい内容は省いています。16話の内容が知りたい!という方はほかの方のブログや記事を見た方が詳しくわかると思います。

 
注意

ここからは完全に個人の意見です。ドラマをみてとった私なりの解釈を吐き出しますので、違う!と感じたらそっとブラウザを閉じてください。

また、当方世界史選択で日本史知識中学どまりのため、ここ史実と違うよ!ポイントがあったらこっそり教えていただきたいです。

 

これまで描かれてきたもの

さて、改めてここまでの16話、タイトルにも書いたように、「何者でもない若者が何かになるまで」を描いてきたのだと思いました。公式コメントにもある通り、序盤の十兵衛はまだ何者にもなっていない若者です。これから歴史上の英傑、明智光秀になっていくのでしょう。ただこの16話まで、十兵衛は外からみれば何者かにはまだなっていません。1話と同じく守護代に仕える中堅武家の跡取りです。では「何」が変わったと感じたのか。それは十兵衛が「自分の進むべき道の一端をつかんだ」ことです。

 

私はこれまで十兵衛に対して、「どっち寄りなんだよ!」とツッコみたくなることがちょいちょいありました。特に高政に対峙している時。どっちつかずといいますか、宙ぶらりんな印象です。周りにゴーイングマイウェイな人物が多い分、その性質は周りから浮き出て見えました。それはなぜか。序盤を見返して、「十兵衛はよりどころ、判断基準を失ってしまったのだ」と考えました。煮え切らないのは必然だと。

 

よりどころを持つ人たち

このドラマ内の人物達は、時代背景も相まってか自分の心情を支えるよりどころやハッキリした判断基準を持っている人が多いと感じます。例えば光安叔父上は家督を十兵衛に継がせるまで領地を守る、という確固とした信念をもっています。そのためなら日和見にもなるし、気に入らない若造相手に踊ることもできる。高政は父を廃し、美濃を国内を強固にしたい。国衆たちは自分の領地を守る。明智の家臣たちは主君に従い、武士としての役割をまっとうする。牧殿や煕子どのは、家を守り、家長の意思を尊重する。など、かなり主観入りでまとめましたが、選択を迫られたときの判断基準が明確だと思うんです。それは身分や立場に応じてやるべきことがある程度決まっていたから、というのもあるのではと思います。だから悩まずにすむ。そんな中で悩んでしまう十兵衛は、この基準を失ってしまった、そう思うのです。

 

これは完全に憶測ですが、もっと若い頃の十兵衛は迷わなかったと思うのです。それは若さもありますが、父の教えが根底にあったのではないかと思うからです。6話にて、父から「将軍は武士の頭領だ」と教わってきたと十兵衛はいいます。将軍を中心とし、その権威のもと、各国の守護が土地を治める。武士はそれに仕える。いうなれば、「正当な(当時の価値観で)主君に仕え、代々の領地を守る」という武士のありかたに疑問をもっていなかったのではないか、と思います。父の教えのとおりに主君を敬い、領地を守る。何もなければそんな生き方をしたのではないかなぁ、と勝手に想像しています。

 

こう仮定するとして、なぜ十兵衛の基準は崩れてしまったか、これにはいくつか要因があったと思います。

よりどころが失われる要因

明智荘は国境付近にある

 1話で、明智の領地は国境に近く、盗賊の襲撃をたびたび受けています。否応なしに外の世界と触れる機会をもっています。世の中の変化を感じ取ることもあったのではないでしょうか。その象徴的な出来事が鉄砲との出会いです。盗賊でもかような武器を手に入れられる、今までとは違う何かが起こっていると感じたでしょう。

②利政(道三)の存在

 利政はそれまでの守護ー守護代ー国衆という関係に力で入り込んだ新時代の傑物です。これまでのような将軍家の威光や血筋ではなく、力あるものが権力を手に入れるという新しい時代の象徴のような人物が身近にいる。これは、これまでの在り方が変わっていくという実感を十兵衛に与えたのではと思います。

③諸国に見聞をひろめに行く

 通称お遣いクエスト。序盤十兵衛はいろんな人の遣いにホイホイおくられていますが、能力がありかつ野心のない十兵衛は動かしやすかったのでしょう。それにより十兵衛は確実に世の中が変化していることを目で見て肌で感じています。時の英傑や牙をむきつつある若者にふれ、自分になかった価値観を知る。激動の中で美濃はどうあるべきか、十兵衛、苦悩のはじまり。

 

これらの体験によってゆさぶられた十兵衛にトドメをさしたのが、

 

④利政の思想に惹かれる

 だと思うんですよね。最初は(というか最後まで)やりかたが気に入らなくて反発していた十兵衛。奇しくもその利政からのお遣いクエストにより見聞を深めたことで、利政の広く世界を見る姿勢に共感できてしまい、惹かれてしまう。こうなったら、もうどうしたらいいのー!!状態です。今まで信じていた自分の価値観と新しい思想、それを体現する主君がいて、それまで自分を支えていた基準が崩れてしまう。

 

長谷川博己さんのインタビューでもありましたが、十兵衛のセリフには「…」が多い。判断基準が定まらなくなってしまったから、スパッと決断することができない。この頃の十兵衛の判断は理論で武装されているものが多いと感じます。気持ちや思想で判断できないから理論や客観的な正しさで判断する。それは間違ってはいないと思いますが、どうしても自分が完全に納得することはできないんじゃないかと思います。

 

自分のやりたいことは何か

しかし、こうした経験のなかで、これから自分がどうあるべきか、その答えを出す材料を同時に得ていきます。

 

十兵衛が最終的に求めるもの、それは争いのない平和な世になることです。争いはもう沢山だ、平和が良い、と何回も口にしています。それは紛れもなく本心でしょう。

 

ではそのためにはどうしたらよいか。それは麒麟をよぶことです。そのためにはどうしたらよいのか。美濃一国に考えがとどまっていては叶いそうにない。外では大名同士の争いが激化している。今のままでは将軍のちからも弱い。どうすればいいのか。そこに差し込んだ一つの道が、

 

大きな国をつくること

 

だったのではないでしょうか。そしてそれができるかもしれない、信長となら。麒麟をつれてくるのは、もしかしたら…。

 

味方して利があるのは完全に高政、しかし、自分の歩む道のヒントをくれ、もう理屈ではなく心がどうしようもなく惹かれてしまうのは道三。人の上にたつものは正直者でなくてはならぬと道三はいった。自分の気持ちに正直になるのならば、平和な世をつくるには

 

「敵は高政様」

 

 

この”道”もまだ完全に見つかったわけではないと思います。大きな国をつくる、そのためにはどうしたらよいか、信長につくにしてもどのように国をつくっていくのか、足利将軍中心の政治はもうだめなのか、これからも十兵衛は悩み、考えていくのでしょう。でも、今までとは少しちがいます。十兵衛は道の一端をつかんだからです。自分のかなえたい世をつくるため、そのために動くことができます。十兵衛にあたらしいよりどころができたのです。

 

やるべきことを知った十兵衛は、英傑への道を歩んでいくのでしょう。何者でもない若者ではなく、自分の信じる道をもった、一人の武士として。

 

その道のりを、最期まで見届けたいと思います。

 

 

 

 

長々と失礼いたしました。